日韓の交流
韓国人男性 2016夏 南ア・北ア・中ア長期縦走
この夏(2016年)、韓国人男性のチョンウンギさん(69歳)が日本アルプスを長期縦走されました。
7月14日から8月22日までの来日で、南アルプスを光岳から鳳凰三山まで、続いて北アルプスは「し」を逆から書くように、常念岳、蝶ヶ岳、上高地を経て焼岳から中尾温泉に下り、乗鞍岳往復の後、笠ヶ岳から北上し白馬岳を経て親不知まで歩きとおされました。残り日数が少なくなった中央アルプスはロープウェイを利用して木曽駒ヶ岳と空木岳へ、テントを背負い、山小屋泊まりを交えながらの大縦走でした。
チョンさんは2009年に穂高岳、槍ヶ岳から剱岳まで縦走や、南アルプス白峰三山の登山経験を積んでおり、今回も十分に下調べしてからの挑戦でした。前回と合わせて日本アルプスの百名山を踏破する狙いでした。
きっかけは韓国の山岳雑誌「サラムガサン(人と山)」のホン社長から隊長を務めた南極観測探検隊の経験を聞いたことだそうです。その貢献に感銘を受け、チョンさん自身も韓国の若者のチャレンジ精神を後押ししたい、あわせて日韓の友好と交流に寄与したいと考えて縦走を決意されました。その気持ちは日本在住の幼いお孫さんにも向けられています。
日本語はわからないチョンさんですが、その決意を息子さんが日本語訳したカードを片手に、山小屋の主人や登山者との交流がありました。北アルプス北部では遭難者の救助にもかかわったそうです。夏山最盛期にも重なりましたので、山で出会われた方も多かったかもしれません。親切に感謝の気持ちでいっぱいだとのことです。今回の山行を山岳雑誌に寄稿される予定で、帰国後とりかかられています。
(内野慎一 2016年10月31日)
南ア・北アを終え、中ア入り チョンウンギ氏
信濃毎日新聞記事