日本の山で
北アルプスが韓国人に人気の理由は? NHK WORLD「山の日」のリポート
今年2016年から祝日になった8月11日「山の日」に、NHK WORLD(海外向け放送)の番組で日本の山の魅力が世界に発信されました。
また、同日のニュースの中でも富士山と北ア槍・穂高の外国人登山者と遭難防止のリポートがありました。
NHK WORLD Preventing Climbing Accidents
キルチャビの活動も取りあげていただきましたし、韓国人登山者を取材できるようコーディネートを手伝いました。
リポートでは槍ヶ岳・穂高岳へ向けて入山したある企業の登山グループが登場します。
そのメンバーへのインタビューで、北アルプスを目指す理由が語られています。
「山仲間に薦められた」
「(『アルプス』と讃えられる)槍・穂高の美しさをこの目で確かめたかった」
やはり、残雪や高山植物、大展望など、韓国にはない3000メートル級の高山特有の魅力を求めているようです。
また、オンエアされませんでしたが、このグループをガイドするJTツアーのキムチャンヒさんは次のように今の状況を整理されていました。
まずはなにより、韓国の登山者にとっても、槍ヶ岳、穂高岳は憧れの山である、と。
登った人が帰国してから山仲間に話すとき、「よかった」「きれいだった」だけではなく、難所で怖い思いをしたことや、困難だったことなどさまざまな体験談があふれ出てきて、とてもインパクトのあるストーリーになる。
それを聞いた人は、そう何度も日本の山へ行けるわけではないのだから、多少困難が伴ったとしても、まずは槍・穂高岳を目指そうという気持ちになる、ということでした。
私たちもネットを含めた口コミの影響が大きいことは承知していましたが、なるほど、下山直後に聞く「こんなに厳しいとは思わなかった」というマイナスの感想が、実は逆に槍・穂高岳にひきつけられるポイントになっているのか、と腑に落ちました。
その一方で、ある旅行会社はこの夏、来シーズン催行に向けての下見で南アルプス白峰三山を縦走しましたし、むしろあえて他の山域を志向するガイドの声も聞きます。また実際に、中央アルプスや八ヶ岳に登っている人たちもいるようです。
これからも北アルプス槍ヶ岳・穂高岳の人気は変わらないでしょう。
それとともに、経験を重ねた人たちは他の山に目を向けるようになってくるかもしれません。
(内野慎一 2016年8月30日 2018年9月5日改訂)
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